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05/13 2026

KIJIMA TAKASHI, NEW YORK, 1960

                   

植田正治に師事し、土門拳に認められた写真家・杵島隆
1960年 ニューヨークの未発表作品を66年を経て初の写真集化

日本写真史を代表する二人の巨匠との接点を持ちながら、
そのどちらにも収まりきらない独自の道を歩んだ写真家・杵島隆。
広告写真の革新者として知られていた39 歳の杵島は、
タイム・ライフ社による「1959 年度最優秀企業広告賞」の
受賞をきっかけに渡米し、この写真を撮影した。
アメリカに生まれ、日本で育ち、
特攻隊員として敗戦を経験した杵島にとって、
ニューヨークは単なる異国ではなく、
自身の出自、戦後日本、広告写真、リアリズム、
そして未来へのまなざしが交差する特別な場所。

この写真集でとりわけ印象的なのは、
子どもたちに向けられた視線である。
無邪気さの奥に、社会の変化がにじむ。
小さな表情の向こうに、
1960 年という時代の輪郭が浮かび上がる。
黒人と白人、女性と男性、若者と大人。
自由と平等へ向かおうとする都市の気配が、
子どもたちの表情や身ぶりのなかに刻まれている。

これは、ニューヨークの写真集であり、
戦後を生きた写真家のまなざしの記録であり、
そして、都市と人間の未来を見つめた一冊である。

分断と不安が渦巻くいま、
杵島が1960 年ニューヨークで見つめたものは、時代を超えて私たちに何を問いかけるのか。

書誌情報

書名:『KIJIMA TAKASHI, NEW YORK, 1960』
写真:杵島隆 編集:森岡督行 キッチンミノル
発行:テキサスブックセラーズ
発売:2026年6月1日
定価:4950円(税込)
版型:A4変形
ページ数:48ページ
ISBN:978-4-911170-11-3